Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
「公事根源」によれば、桓武天皇の延暦十一年の冬、
初雪見参
といって、天皇以下、雪の夜がたりに明かされたことがみえ、一条院の御世には、清少納言が、藤壺に雪の山をきずいて、興じあったなどのことが枕の草子にはみえる。
「……お。琵琶の音が」
と、宮はふと、在房の影をよびとめて佇まれた。
「あの琵琶も御宴で弾いておるものか。そしてそも、弾き人はたれか?」
在房は脂燭の揺れを手のひらで庇いながら、遠くの琵琶へ耳をすまして、やがて宮のご不審へ答えて言った。
「いやあれは、御宴のあたりではございませぬな。思い出しました。東宮のお内かとぞんじられます」
「では、東宮のお奏でか」
「いえいえ、覚一法師にちがいありませぬ」
「覚一」
「はい。このほど検校のみゆるしを賜わった盲法師で、そのおん礼のため、左兵衛ノ督(尊氏)さまに伴われて、今日、春の宮(東宮)へも伺うたよしを聞いております。……折ふし、この雪なので、東宮のお内にあっても、おん母の廉子の君やら侍女たちも交じえて、平家の一曲でもひかせ、お興じ合っておられるものでございましょう」
「そうか」
宮は、しかし、いつまでもそのお佇みを忘れたような姿だった。