Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate

Aozora Bunko

「あとで。あとで、また」

と、正成はすぐその足を、さらに山上の、転法輪寺の方へ向けていた。

凱旋の彼を迎える祝いの鐘が、戦勝祈願の達成を告げる勤行のそれか、上の転法輪寺の鐘がごんごんと鳴っている。その声音のなかに、妻子の顔があった。坂へかかると一ばい歩行に困難な正成は、部下たちの手でその腰を押され押され登って行った。

彼の姿が山上へ出ると、ここでもまた、五月の青嵐に声を染めて、

「おお、おやかたじゃ」

「わが殿、わが殿」

と、歓呼の迎えだった。

転法輪寺の門前には、兵といわず、すべて半歳の籠城を共にしてきた雑人から老幼男女まで群れ立って、どれも狂喜の顔をくずし合っていた。わけても、別院の病棟から、ころげるように走り出てきた八尾ノ新助、鷺十郎、矢尾常正らの重傷者たちは、

「お帰りなされませ」

「めでたく、ご凱旋で」

と、口々に、

「とはいえ、てまえらは、ご馬前にも立たず、かようなざまにて、面目もございませぬ」

と、さけび、果ては、

「不忠のほどおゆるしを」

と、正成の足もとに、それぞれ、その口惜しげな体を伏して、あやまるのだった。また、泣くのであった。

正成は、それらの者を見ると、