Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

しほんたいへいき

私本太平記

吉川 英治

Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate

Aozora Bunko

菊王は「……来たな!」と、覚悟もしながら、色をなさずにいられなかった。が、車の内はしずかである。それを力に。

「なんだ! 待てとは」

「調べがある。車上のお人に、顔を出してもらいたい」

「だまれ。おん方を、誰とおもうぞ。雑武者のぶんざいで」

「雑武者であれ、検断所の手の者だ。わからぬからこそ、顔を見せろと申すのに、見せられぬのか」

「ぶ、ぶ礼であろう。貴人にたいして」

「貴人。……ふふふ、貴人にもいろいろあるわ。えい、面倒な」

いきなり腕を伸ばして、その者は簾の裾をつかみかけ、あとは車の後ろへ廻った。その一人の方の襟がみをつかみもどして、菊王が牛の足もとへ叩きつけたとき、車の尻に取ッついた兵どもも、車蓋の内からふいに俊基の足蹴を食ッて、左右へ転び落ちていた。

「菊王っ。かまうなっ。はやくやれいっ」

牛は、烈しい一鞭の下に、車の輪を鳴らして駈け出した。大路を斜めに、狂奔する牛に付いて、八省門へ入るつもりだったが、そこまで迂回する間も待てず、待賢門が開いていたのを幸い、そこへ向って、逃げ入ろうとするらしかった。

部下の大声を知って、本庄鬼六は河原からすっ飛んで来た。