Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate
群集の耳にはよく聞きとれないが、俊基とは有縁の者らしく、
「……北ノ方さまのお文をたずさえ、最期の様子を見たてまつらんと、はるばる都から下ってまいった伺候の者です。……弁ノ殿に、一目お会わせくだされい」
と、声振りしぼッているのであった。
「待て待て。手荒にするな」
工藤高景は、こう制しながら、男の前へ来て、そのいうところを、聞き取っていた。
男は、かねて俊基からは大事も打ち明けられ、また諸所に宮方の軍需物資を用意するなどの役もしていた刀鍛冶の後藤助光だったのである。
が、工藤高景の前では、もとより刀鍛冶とは名のらず、
「多年、日野殿に仕えてきた、家職の助光でございまするが」
とのみいって、必死に、さいごの面接を工藤にすがった。
高景はそれをゆるした。わざと大声で、
「長いことは相ならんぞ。寸刻はゆるす。名残りを惜しめ」
と、助光を矢来の内へ突きやって、わざと自分は、ほかで立ち話などしていた。
当今は、武者の風儀もすたれ、鎌倉武士のゆかしさなどはもうないといわれていたが、すべてがそうでもないことは、この工藤や諏訪家の扱いに見てもわかる。
「……おっ、助光か」