Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate
「やっと、帰ってくれたよ。……だがね、使いの衆は言っていたぜ。今に限ったことではないから、またの日、迎えにまいろうと。……ま、その間に、こっちも夫婦でよく相談しておくこったな」
妙達は、庫裡へもどって、寝てしまった。彼にすれば、いかにも歯がゆい、また、むなしい思いに耐えぬらしかった。
深夜が来た。
もう四月も半ばすぎ。初蛙の声もする。夫婦は、あれから後も寝てはいないようだった。やがて、ひそひそ声がとぎれると、なにか身装いをしだしたり、雨露次が、どこからか、妻と自分の草鞋など探して来た風だった。
「卯木。あれは持ったか」
「持ちました」
それは、亡き子の骨を納めた小箱のことであったろう。卯木が背に負っていた。破れ笠を片手に、観音堂の外へ降りた。
夫婦は、姿をそろえて、御堂にぬかずき、また妙達の寝ている庫裡の方へも、手を合せていたが、ほどなく、藤井寺をあとに、その夜、どこともなく立ち去った。
翌朝。――まだ堂守の妙達も、起きぬけ早々。
藤井寺の外に、駒や従者をとどめ、ひとり山門を入って来たものがある。石川ノ豊麻呂だった。
「堂守。堂守」
その声に、妙達は、庫裡のうちから飛んで出て。