Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate
「ちと、つつしめ」
とある禁足の命も、耳になど入れない。ものの三日と卯木の顔を見ずにいられなかった。
わけて風雨の晩などは、むしろ、与えられた僥倖の夜として、主邸から忍び出し、西華門院の高築土をこえ、夜空の吠えもよそに、卯木と明け方ぢかくまで睦んでもどった。われながら、その勇には、驚かれもする。
いや、彼の情熱とその大胆さに、ひそかな微笑を覚えたのは、じつは主人の成輔であったらしい。恋の同情者としてでなく、元成を、自分の眼がねどおり、勇ある者と見て、「――この男、用うべし」と、思ったのである。
かねがね、烏丸成輔、千種忠顕、坊門ノ清忠など、急進的な公卿のあいだで、
「用うるによき男はないか」
と、心がけていた宿題があったのだ。
それは、みかど(後醍醐帝)も、おふくみではあり、仕損じたら、一味の公卿同盟には大ヒビが入るし、対鎌倉の面でも、危険な機ッかけを呼ぶものとなりかねないので、秘命をさずける人選には、大事に大事をとっていたことだった。
ついに、或る折。
成輔は自室を閉じて、密々、それを自分の見こんだ治郎左衛門元成に打ち明けたすえ、
「どうじゃ、やるか」