Classici giapponesi con furigana
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あきのしゅぜんじ
秋の修善寺
岡本 綺堂
Leggi 秋の修善寺 (あきのしゅぜんじ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5167 caratteri · 11 schermate
店さきに張子の大きい達摩を置いて、その片眼を白くしてあるのは、なにか願掛けでもしたのかと訊いたが、主人も職人も笑って答えなかった。楽隊の声が遠くきこえる。また例の活動写真の広告らしい。
理髪店を出ると、もう八時をすぎていた。露の多い夜気は冷々と肌にしみて、水に落ちる家々の灯のかげは白くながれている。空には小さい星が降るかと思うばかりに一面に燦めいていた。宿に帰って入浴、九時を合図に寝床に這入ると、廊下で、「按摩は如何さま」という声がきこえた。
三
二十八日。例に依って六時入浴。今朝は湯加減が殊によろしいように思われて身神爽快。天気もまた好い。朝飯もすみ、新聞もよみ終って、ふらりと宿を出た。
月末に近づいたせいか、この頃は帰る人が一日増しに多くなった。大仁行の馬車は家々の客を運んでゆく。赤とんぼうが乱れ飛んで、冷たい秋の風は馬のたてがみを吹き、人の袂を吹いている。宿の女どもは門に立ち、または途中まで見送って「御機嫌よろしゅう……来年もどうぞ」……など口々にいっている。歌によむ草枕、かりそめの旅とはいえど半月一月と居馴染めば、これもまた一種の別れである。