Classici giapponesi con furigana
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たつたまるのちゅうどくじけん
竜田丸の中毒事件
宮本 百合子
Leggi 竜田丸の中毒事件 (たつたまるのちゅうどくじけん) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1558 caratteri · 4 schermate
龍田丸は三百余名を乗せていたそうだが、中二百余名は三等船客だったそうだ。その半数が中毒にかかったわけである。切迫した国際情勢のために、着のみ着のまま出発して来た人たちで、心身の疲労はいちじるしかったと、それも不幸の一つの原因としていわれているが、もしそれがそんなにはっきり誰の目にも映じているとしたら、新鮮だと断言出来ないような卵をきまった船の献立だからといって、形式的に食わせる不親切な心持を感じる。
もう一つ私たちが大変不思議に感じて驚いた事は、その事件の細かく報道せられている、同じ夕刊にのっている同船の名士たちが記者のインタビューに際して、それぞれに世界情勢、国際情勢を語りながら自分の乗って来たその船で、自分達の娯楽して来たサロンの下の三等船客たちに、そういう気の毒な事件が起ったことについて、誰一人として遺憾と同情の言葉をのべている人がないことである。道ばたで葬式にあえば、私たちはひとりでに黙礼の感情をもっていると思う。自分達の航海が無事に終ったにつけても、三等の人たちのその不幸を悼む自然の気持というものはないものだろうか。そのことについて、まるで知らなかったことのようにふれられていない。