Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふでにもくちにもつくす

筆にも口にもつくす

北大路 魯山人

Leggi 筆にも口にもつくす (ふでにもくちにもつくす) di 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 2348 caratteri · 5 schermate

Aozora Bunko

ある日、ある女人と、こんな話をした。

「先生、料理をするときの心がけについて話していただけませんでしょうか」

「なるほど、君はなかなかいいことを聞くね。方法を聞かずに、心がけを聞くところに見どころがあるね。それはね、まず、親切ということだ。親切を欠くなということだ」

「ハイ、親切を欠くな……でございますか」

「そうだ、真心だね。こんな話がある。あるひとが別荘にいた。別荘にも、いろいろあるが、あまり、ありがたくない別荘だよ」

「まあ申せば小菅のようなところですの」

「うむ、君はなかなかもの分りがいいな。つまり、そうした別荘だよ。そこでだ、その別荘に、毎日差し入れがくる。弁当がとどけられるのだな。日々いろいろのひとから、差し入れ弁当がとどくのだよ。友人からとどくもの、知人からとどくもの、そのひとが世話してやったひとからとどくもの、また、そのひとが別荘から出た時に、そのひとを利用してやろうと思う奴からとどくもの、いろいろだからね。そのなかで、そのひとが差し入れ人の名を聞かずとも、すぐに分る差し入れ弁当があった。それは、そのひとの、おっかさんからとどけられるものだった。