Classici giapponesi con furigana
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そぼくなにわ
素朴な庭
宮本 百合子
Leggi 素朴な庭 (そぼくなにわ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1657 caratteri · 4 schermate
「何にするの?」ときいても、誰一人少女の無礼は咎めなかった。今もうその暢ような人との交渉は田舎に於ても幾分減った。あの頃と異わず私を受け入れて呉れるのは春の複雑な陰翳を持つ連山と、遠くや近くの森、ゆるやかな起伏を以て地平線迄つづく耕地、渡り鳥が翔ぶ、素晴らしい夕焼け空などである。――
自然に対して斯う云う憧憬的な気分の時、私は殆ど一種の嫌悪を以て目の前のせせこましい庭を見る。飛び石で小さいセメントの池から木戸まで、又は沈丁花の傍らまで人工的につながれた庭。通俗的な日本式庭園の型をまねて更に一層貧弱な結果を示したに過ぎない。
私は、庭が、せめてありのままの自然の一部を区切って僅の修正を施した程度のものでありたい。本当の野山をいくら捜してもない樹木の配置、木と木との組み合わせ等を狭い都会の空地に故意とらしく造るより、自然の一隅で偶然出会って忘られない印象を与えられた風景の再現を目標として、工夫を凝すなら凝したい。
茶道の名人達は、その感情を深く味到したのだろう。悲しい事に、今日東京に住む私共は、全然野生に放置された自然か、或は厭味にこねくられた庭か、而も前者はごく稀れにしか見られないと云う不運にあるのだ。