Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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るこうしんそう

縷紅新草

泉 鏡花

Leggi 縷紅新草 (るこうしんそう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.566 caratteri · 48 schermate

Aozora Bunko

――

今、目のあたり、坂を行く女は、あれは、二十ばかりにして、その夜、(烏をいう)千羽ヶ淵で自殺してしまったのである。身を投げたのは潔い。

卑怯な、未練な、おなじ処をとぼついた男の影は、のめのめと活きて、ここに仙晶寺の磴の中途に、腰を掛けているのであった。

二

「ああ、まるで魔法にかかったようだ。」

頬にあてて打傾いた掌を、辻町は冷く感じた。時に短く吸込んだ煙草の火が、チリリと耳を掠めて、爪先の小石へ落ちた。

「またまったく夢がさめたようだ。――その時、夜あけ頃まで、堀の上をうろついて、いつ家へ帰ったか、草へもぐったのか、蒲団を引被ったのか分らない。打ちめされたようになって寝た耳へ、

――兄さん……兄さん――

と、聞こえたのは、……お京さん。」

「返事をしましょうか。」

「願おうかね。」

「はい、おほほ。」

「申すまでもない、威勢のいい若い声だ。そうだろう、お互に二十の歳です。――死んだ人は、たしか一つ上だったように後で聞いて覚えている。前の晩は、雨気を含んで、花あかりも朦朧と、霞に綿を敷いたようだった。格子戸外のその元気のいい声に、むっくり起きると、おっと来たりで、目は窪んでいる……額をさきへ、門口へ突出すと、顔色の青さをられそうな、からりとした春爛な朝景色さ。