Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぎみんじんべえ

義民甚兵衛

菊池 寛

Leggi 義民甚兵衛 (ぎみんじんべえ) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.241 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

わしの亭主、助けると思うてな。大根一本融通してくれんかな。御時世が直ったらな。十本にでも百本にでもして返すけにな……。

おきん (黙って大根を鍋に入れる)……。

およし なあ、おきんさん、わしたち、助けると思ってな。

おきん (冷然として)まあ、堪忍してもらおうけな。

およし (おどろいて)ええ何やと。

おきん 御時世が直って、大根を一車返してもらうより、今の一本の方が大事じゃけにな。

およし (弱々しき反抗で)えろうまあ、無慈悲なことをいうのう。

おきん いわいでかのう。この時節に、食物のことでは、親子兄弟でもな、血眼になっとるんじゃ。

およし 大根一本が、それほど惜しいかのう。

おきん ふふむ。何いっているだ。おぬしの方が、それほど欲しがっているじゃないか。この頃では甚吉の家の大根いうてな、みんな評判してな。一本でも二本でも盗もうとしてるんじゃ。家中、代り番こに、ねず番しとるんじゃ。一朱銀の一つも持ってくるがええ。大根の一本や二本くれてやるけにな。

およし (憤然として)人情を知らんのにもほどがあるのう。

おきん 何いってるぞ。この時節に、人情だの義理だのいっとると、乾干しになって死んでしまうわ。