Classici giapponesi con furigana
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おうがいのけんこうとし
耄碌寸前
森 於菟
Leggi 耄碌寸前 (おうがいのけんこうとし) di 森 於菟 (もりおと) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 43.925 caratteri · 89 schermate
最後まで、ていねいに感謝されて使ってもらったといっては、未だに店子を娘のように思って自慢のたえない養老院から来たお婆さんの声らしい。そのやさしい消え入るような声に感染して、部屋のあちこちでも嗚咽がはじまる。
解剖室の窓からは斜陽がいっぱいさし込んで、一日のうちで一番荘重な夕暮の一刻を、この今では誰からも忘れられた亡者達の小部屋に、次第に送り始める。そして、そのすすり泣きの合奏も、そのいよいよ輝きを増す金色の光に調和するように高まり、遂にその極に達したかの感がある。
その時、「先生」という声がした。僕は思わずその声を振り返った。見れば、最近自動車事故のために家を引き払ったという男の死体で、その青年はしばらく生きていた時遺言で彼をけなげにも僕の教室に送りこんだのだった。後々の世話まで見てやったわけだ。その幸福な死体が言う。「先生、どうにかならないでしょうか。今は民主主義の世の中です。だから僕達だって発言権はあるはずです。何とかして僕等の意見を世の中に伝える方法はないでしょうか。」「そうです」「そうです」と今までおのおの、いろいろな思いにふけっていた死体達が、すすり泣きをやめて一斉に叫び始めた。