Classici giapponesi con furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Leggi 耽溺 (たんでき) di 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.597 caratteri · 110 schermate
しかし、まだ何となく胸のもつれが取れないので、ろくに話をしなかった。
「おこってるの?」
「………」
「ええ、おこッているの?」
「………」
「あたい知らないわ!」
吉弥はかっと顔を赤くして、立ちあがった。そのまま下へ行って、僕のおこっていることを言い、湯屋で見たことを妬いているのだということがもしも下のものらに分ったら、僕一生の男を下げるのだと心配したから、
「おい、おい!」と命令するような強い声を出した。それでも、かの女は行ってしまったが、まさかそのまま来ないことはあるまいと思ったから、独りで酌をしながら待っていた。はたして銚子を持ってすぐ再びやって来た。向うがつんとしているので、今度は僕から物を言いたくなった。
「どうだい、僕もまた一つ蕎麦をふるまってもらおうじゃアないか?」
「あら、もう、知ってるの?」
「へん、そんなことを知らないような馬鹿じゃアねい。役者になりたいからよろしく頼むなんどと白ばッくれて、一方じゃア、どん百姓か、肥取りかも知れねいへッぽこ旦つくと乳くり合っていやアがる」
「そりゃア、あんまり可哀そうだ、わ。あの人がいなけりゃア、東京へ帰れないじゃアないか、ね」