Classici giapponesi con furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Leggi 耽溺 (たんでき) di 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.597 caratteri · 110 schermate
いッそ、吉弥を妾にして、女優問題などは断念してしまおうかと思って見た。
そうだ、そうだ。今の僕には女優問題などは二の町のことで、もう、とっくに、僕というものは吉弥の胸に融けてしまっているのではないか? 決心を見せろとか、何とか、口では吉弥に強く出ているが、その実、僕の心はかの女の思うままになっているのではないか? いッそ、かの女の思うままになっているくらいなら、むずかしいしかもあやふやな問題を提出して、吉弥に敬して遠ざけられたり、その親どもにかげで嫌われたりするよりか、全く一心をあげて、かの女の真情を動かした方がよかろうとも思った。
僕の胸はいちじくの果よりもやわらかく、僕の心はいちじくの葉よりももろくなっていたのだ。
ふと浪の音が聴えて来た。泳ぎに行って知っているが、長くたわんだ、綺麗な海岸線を洗う波の音だ。さッと言っては押し寄せ、すッと静かに引きさがる浪の音が遠く聴えた。それに耳を傾けると、そのさッと言ってしばらく聴えなくなる間に、僕は何だかたましいを奪われて行くような気がした。それがそのまま吉弥の胸ではないかと思った。
こんなくだらない物思いに沈んでいるよりも、しばらく怠っていた海水浴でもして、すべての考えを一新してしまおうかと思いつき、まず、あぐんでいる身体を自分で引き立て、さんざんに肘を張って