Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おに

聴雨・蛍 織田作之助短篇集

織田 作之助

Leggi 聴雨・蛍 織田作之助短篇集 (おに) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.483 caratteri · 41 schermate

Aozora Bunko

「仕事の鬼」だと私は思った。

三

私は早いとこ細君を探してやるのが彼のためだと思った。

細君はすぐ見つかって話も纏ったが、戦争が終って雑誌がふえたりして、彼の仕事も前より忙しくなって来て、結婚どころの騒ぎではないという。それで、式をあげるのをのびのびに延期していたところ、金融非常措置の発表があった。旧紙幣の通用するうちに、式をあげた方がいいだろうと説き伏せると、彼も漸く納得して、二月の末日、やっと式ということになった。

仲人の私は花嫁側と一緒に式場で待っていたが、約束の時間が二時間たっても、彼は顔を見せない。

私はしびれを切らせて、彼が降りる筈の駅まで迎えに行くと、半時間ほどして、真っ青な顔でやって来た。

「どうしたんだ」ときくと、

「徹夜して原稿を書いてたんだ。朝までに出来る積りだったが、到頭今まで掛った。顔も洗わずに飛んで来た」

「顔も洗わずに結婚式を挙げるのは、君ぐらいのものだ。まアいい。さア行こう」

と、手を取ると、

「一寸待ってくれ。これから中央局へ廻ってこの原稿を速達にして来なくっちゃ、間に合わんのだ」

「原稿も原稿だが、式も間に合わないよ」