Classici giapponesi con furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Leggi 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) di 松永 延造 (まつながえんぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.696 caratteri · 144 schermate
来るには来た! だがもう見て呉れる眼が閉されて了っている。」
気が附かずに居たが、窓際には小鳥の籠がかけてあったようである。ハッキリは分らぬが、何でも、あの小鳥の鳴き声――節の終りの所で、物問う様に、調子を上げるその声が、恰度、悲愁を持った懺悔の聖歌の如く、私の耳へ幽かに入って来るようであった。
だが、その事ではない。鳥の声なぞは何でもない。私は、もう言葉が出ない。何んな風に云い表わそう。戦慄なぞと云う文字さえ、一つの弱々しい遊戯としか感ぜられぬではないか。恐怖、驚愕、そんな文字が何か? 私の心持の何十分の一が、それに依って伝えられよう。
駄目である! 私は歯痒くてならない。
聴き手よ。貴下は竜巻を見た覚えがあるか? 黒い煤のような雲が、地面の直ぐ上に迄降りて来て、砂が一本の筒のように上へ吸い上げられ、其処に迷っていた幼児が帯を持ち上げられたように、空中へ飛ぶ様を見なかったか? 或いは大きな塔が割れて、その裂け目から、青と赤との焔が出る所を見なかったか? 或いは、そうだ! 重い馬力車に老いた女が轢き殺されて、貴方の眼前で血を鼻と眼とから流し乍ら、見る間に生から死へと急転する顔面の凄じい色を目撃した覚えはないか?