Classici giapponesi con furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Leggi 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) di 松永 延造 (まつながえんぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.696 caratteri · 144 schermate
私は菱形の盆を大きくしたような寝台に平臥して、金縁の附いた天鵝絨の布団を鼻の下迄引張るのである。斯うするとまるで孔子の髯の様に長く、黒い布が私の足に達するであろう。
いや構わない。もっと妄想――即ち思想の膿を分泌せよ!
支那風な瑪瑙の象眼に、西欧風な金銀の浮彫りを施した一つ小箱には、自分の眼底迄が黒い瞳の闇を透して写り相な磨きが掛けてる。その中には暗中に生活した為めに、肉体の弱り切った子供の様に見える所の、或る秘密なミニエチュアを二枚合せにして蔵している。それは海の中にある極楽の様に冷や冷やとした画であるが、見ていると記憶が乱れ切って了う様に、四ツの焦点が注意を掻きむしる。自分が橋を渡っているのだと思わせて置き乍ら、実は泳がせていると云った様な訳の分らぬ画、私の言葉が人々に分らぬ程、比喩に満ちた画だ。之より分らぬものが又とあろうか。恐らく此の画には本質的な価値はないのである。唯何も分らぬ点が人々をして価値あるものの如くに眩視せしめるのである。斯んな例は世の中に沢山ある。
偖て、聴き手よ。貴方方が若しも犯罪心理学者であり、美と罪悪との不可思議微妙な関係に就いて研究しつつあるならば、私が上来書き来った所の文体を検査した時、必ずやその筆者が幾分か悪人であらねばならぬと云う推定を下す事が出来る筈である。