Classici giapponesi con furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Leggi 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) di 松永 延造 (まつながえんぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.696 caratteri · 144 schermate
悲哀と私一流の怨恨とが一時に私の意識を占領した。
私は手紙をやぶり捨てるために、それを指の先でつまみ上げた。ああその時、実にその時である。
私は烈しい心の動乱を覚えて、手紙を固く胸の上へ抱きしめた。鼓動は騒いだ。吐息が洩れた。ああ実に之は何たる不可思議であろう。私は手紙の表面へ「悲しいお嬢さん」と書いたのを記憶している。だのに、今私が抱いている手紙の表面にはそれらの字が消えて真白になっているのだ。インキ消しの薬が何時作用したと人は思うか。
「何て、うまい事だ。」と私は擽たそうに微笑した。その手紙は確かに娘からの返事であった。何と書いてあったか? 私はもう忘れて了った。けれど何でも、もう嬉しくて寒気がするような、有難い言葉が三つも四つも続け様に繋がっていたに相違ない、私は見えない娘へ何回もお礼を云って、生け垣を去った。半町も歩いて振り返って見ると、今迄姿を表さなかった娘が門の前へ淋しい水の精かなぞのように立っているのが分った。私は夢中になって、そのやさしい姿の方へ舞い戻ろうとした。娘は近寄る私を恐怖するように家の中へ逃げ込んだ。
「この位で丁度よいのだ。