Classici giapponesi con furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Leggi 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) di 松永 延造 (まつながえんぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.696 caratteri · 144 schermate
四方の壁も寝台の足もその他の装飾も全部紫色を以て塗られてあった。
私は元来紫色が大変にきらいであったから、此のすすめを何うかして逃れようと思案した。
「先生は紫色が人間の悪心を矯正するとお考えなのですか?」
「さあ……少くとも橙色よりわね……」
「子供の中に黒い部屋で育ちますと、その黒がしん迄沁み込みます。けれど大人になって紫の部屋に入っても、黒の上へ紫はそまらないでしょう。」と私は沈んで答えた。
「しかし、まあ、入って見なさい。何か効果があるかも知れないから……」
以上の会話はまるで虚言のように態とらしく見えるかも知れない。けれど全部事実であり、院長の呑気に近い優雅を證拠立てる好い材料の一つであろう。人々は如何に思うか。世間の学者達は熱心に悪人を矯正しようとして考え、骨を折っている。然も紫色の室以上のものを設計し得ないのは大きな悲しみではなかろうか。
私は何時も思っている。「幼いものをつまずかすのは、老人の足を切り取るよりも、もっと悪い事だ。」と。紫色の室が役に立つのは、其処へ入るものの頭蓋骨が未だ小さく柔軟な場合である。
私は紫色の室内に眠って深い悲しみに閉された。