Classici giapponesi con furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Leggi 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) di 松永 延造 (まつながえんぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.696 caratteri · 144 schermate
「もう時間が過ぎた。」そうして壺を抱えると、悲痛な足どりをして紫色の室を去って行って了ったのである。
私は独りになってから一層興奮した。眠れぬ眼を大きく開くと、沈思しつつ室を歩いた。
「そうだ。あの壺には何の訳もないのだ。院長は恋を打ち明けそこなったら、あの壺でも見せて、それを室へ忍び寄った理由にしようと用心して来たのだ。」此の考察は正しい如くに見えた。何故なら、彼は帰りしなに斯う云ったからである。
「……此の壺は秘密にして蔵ってあるんだ。それでないと警察へ取り上げられて了うんだ。人の骨が入っているんだからね。それで誰にも見せないんだが、まあ、お前丈にはな……」
私はそんな壺を見せて貰える程に、院長から好意を持たれているのが、矢張り厭であった。壺の中の人骨を見た事、院長が室へ侵入した事、之等の不快な事実が私を粗暴な感情へと導かずには置かなかった。「畜生! 私は……あの婦人病患者と関係してやろう。」腹立ちまぎれに、そう決心したのは其の夜の明け方であった。私は割合臆病な人間であったので、私が一つ悪事を働く前には、必ずそれを起させる誘導的な凶事が先駆せねばならなかったらしい。