Classici giapponesi con furigana
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はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
Leggi 肌色の月 (はだいろのつき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.706 caratteri · 101 schermate
誰かの車に便乗させてもらえれば、うまく検問を通れそうだ……日が暮れてから、ロッジへ来てみると、ボートはあるがプリムスはない。ボートは苦手だが、急がずにやれば向う岸まで行けそうだ。そう思ってボートに乗った。石倉もさるもので、林の中から這いだしてから、私がどういう行動をとるか見抜いて、ボートの底に仕掛けがしてあった……栓を抜いて牛脂でも押込んであったんだろう。ものの二十メートルも漕ぎださないうちに、ブクブクと沈んで、否応なしに泳がされた……私の心臓にとって、泳がされるくらい致命的な苦行はない。もう十メートルも遠く漕ぎだしていたら、心臓麻痺で参っていたろう」
大池はめざましく興奮して、見ていても恐しくなるような荒い呼吸をついた。
「こういう目にあってみると、いったい、なんのせいで、兄があんなふうに逃げまわっているのか、よくわかった。兄は警察を恐れているんじゃなくて、君代や石倉を恐れているんだ……水上が妙な死にかたをしたので、こいつはあぶないと気がついたんだ。些細な隠し資産を誇大に言いふらしているのも、あの二人に隠れ場所をおしえないのも、そうしておけば、殺されることはないと考えたからなんだ……戦後、悪党というものの面を数かぎりなく見たが、あいつらほどの奴はいなかった。