Classici giapponesi con furigana
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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Leggi 自叙伝 (じじょでん) di 大杉 栄 (おおすぎさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 115.021 caratteri · 230 schermate
新発田ばかりではない。遠い地方の田舎へやられるのは、多くはそうであったのかも知れない。
もうよほど後のことであるが、家に大勢士官が集まった。父はその士官等に、山田の伯父から送って来た葉巻をご馳走した。しかしそのお客の中で、この葉巻を満足に吸ったものはほとんど一人もなかった。みんな太い方を口へ持って行って、とがった先きにマッチの火をつけようとした。新発田というのはそんな田舎だったのだ。
しかし僕は父が何の失態で新発田へ逐いやられたのか知らない。週番で宮城につめていた時、何かの際に馬から跳ね飛ばされて、お濠の中に落っこちて、泥まみれになって上って来た。それを陛下がご覧になって、「猿じゃ猿じゃ」と笑い興ぜられたことがあったそうだ。しかしこれは父の光栄であって、決して失態ではなかろう。実際父はちょっと猿のような顔をしていた。
が、とにかく父は新発田に逐いやられたのだ。
父は、やはり同じ近衛から新発田へやられるもう一人の下士官と一緒に、東京を出た。僕はその旅の中で、碓氷峠を通る時のことだけを覚えている。碓氷峠にはまだアプト式の鉄道も布かれてなかった。そしてその海抜幾千尺か幾里かの峠を、僕等は二台のガタ馬車で走った。