Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えんしょ

艶書

山本 周五郎

Leggi 艶書 (えんしょ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.027 caratteri · 50 schermate

Aozora Bunko

彼は眼をつむったまま云った、「あの明くる朝、あなたはずいぶん早くから庭へ出ていた、あなたは待っていたんだ、梅林のところで、私が鳩の鳴きまねをするのを待っていたんだ」

七重はこらえかねたようにむせびあげた。くくとむせびあげながら、両手で顔をおおったまま云った。

「わたくし、晴着を着ておりました」

「そうだ、こまかい花模様のある晴着で、美しく髪化粧をしていた」

「ええ、わたくし申してしまいます」と七重はおおった手の蔭から(泣きながら)云った、「わたくしあなたのお返辞がうかがえると思いました、それで早く起きて、晴着を着て、髪をあげ化粧をして、待っていたのですわ」

「そうとは知らないものだから、私はあなたをおこらせてしまった」

「あなたは悪戯だとおっしゃいました、あのとき七重がどんな気持になったか、あなたにおわかりになるでしょうか」七重はむせび泣きながら云った、「わたくし、あなたも七重を好いていてくださるものと思っておりました、ですから手紙をみればすぐにわかっていただけると、信じていたんですわ、それなのにあなたは、誰かの悪戯だっておっしゃいました、わたくし、死んでしまいたいと思いました」