Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あくたがわのげんこう

芥川の原稿

室生 犀星

Leggi 芥川の原稿 (あくたがわのげんこう) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2159 caratteri · 5 schermate

Aozora Bunko

まだそんなに親しい方ではなく、多分三度目くらいに訪ねた或日、芥川の書斎には先客があった。先客はどこかの雑誌の記者らしく、芥川に原稿の強要をしていたのだが、芥川は中央公論にも書かなければならないし、それにも未だ手を付けていないといって強固に断った。その断り方にはのぞみがなく、どうしても書けないときっぱり言い切っているが、先客は断わられるのも覚悟して遣って来たものらしく、なまなかのことで承知しないで、たとえ、三枚でも五枚でもよいから書いてくれるようにいい、引き退がる様子もなかった。三枚書けるくらいなら十枚書けるが、材料もないし時間もない、どうしても書けないといって断ると、雑誌記者はそれなら一枚でも二枚でもよいから書いてくれといい、芥川は二枚では小説にならないといった。先客はあなたの小説なら、元来が短いのであるから二枚でも、結構小説になります、却って面白い小説になるかも知れないといって、あきらめない、一種の面白半分と調戯半分に、実際書けそうもない本物の困り方半分を取り交ぜて、どうしても芥川は書けないといい、先客はやはりねばって二枚説を固持して、何とかして書いてくれといい張った。