Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
菊江は、頬面に飯のついていることなどかまわず、巌流島の方をながめながら、呟く。
「おマンさん、人間には、いろいろな階級があるなあ。わたしたちのように、石炭の中で、まっ黒になっとるゴンゾもあるかと思や、あんな、ピカピカ光る西洋の着物着た、まっ白な女もあるよ」
「それが、どうしたかね? 情ないこと、いいなさんな。あたしたちだって、いつまでも、ゴンゾで居るもんか」
そのはげしい言葉に、菊江はびっくりして、マンを見た。
森新之助が、このとき、握り飯を口に頬ばりながら、急に、ものものしげに、声をひそめた。
「おい、みんな、気をつけろ」
「なにをや?」
一人の老仲仕が、鈍重な語調で、きいた。
「おれは、今、ひょっくり、気がついたんじゃよ。あの女たち、露探かも知れんぞ」
誰も答える者はなかった。急に、前とは違った、緊張した顔つきになって、巌流島の女たちを眺めなおした。洋装婦人たちは、なにがそんなにおかしいのか、肩をたたきあうようにして、笑いころげている。
それを見るマンの瞳には、一種軽侮に似た光と、憤りの感情とが、まじりあっていた。
「それに、ちがわん」新之助は、確信にあふれた顔つきで、「このごろ、ロシヤは、日本の女を、さかんに、スパイに雇うとるちゅう噂じゃ。