Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
金五郎さんも、そうとちがうの?」
「馬鹿なこと、いいなさんな」
「どうか知らん……? わたしのほかに、女でもこしらえたら、承知せんけん」
「お前こそ、間男すんなよ」
若夫婦は、はじめての焼き餅喧嘩の真似ごとをして、げらげらと、笑いあった。
マンの意見にしたがって、すぐに、出発することにした。
「なんでも屋」や、「ノロ甚」は、おどろいたけれども、金五郎とマンとが、格別に悲しんでいる様子もないのを見て、いくらか、安堵した。島を追われる二人は、かえって、勇気凜々としているようにさえ見えた。
陰険な山下松次は、はじめから終いまで、顔を出さない。しかし、なにかの指命が組内に発せられた模様で、金五郎とマンが島を出て行くのに、仲間は、一人も姿を見せなかった。
桟橋まで、「なんでも屋」と、「ノロ甚」とが来ただけである。伝馬船に、世帯道具を積んだ。「ノロ甚」が、櫓を漕ぐ。「なんでも屋」は、餞別に、金五郎夫婦の寝ていた煎餅蒲団を、二枚くれた。
関門海峡には、どんよりとした雲が映って、重苦しい波が騒いでいる。
「さようなら、達者でな」
そういう「なんでも屋」のしょぼついた眼に、いっぱい、涙がたまっていた。