Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

しかし、資格に面倒な条件がたくさんあって、なかなか採用にならない。その金的を、マンは射とめたわけである。普通なら、飛びあがってよろこぶところだ。

ところが、マンの顔は当惑したように、眉がよせられている。

――都会。

――港。

――自由の世界。

――ブラジル。

せせこましい谷底の故郷から、ひろびろとした天地へ出たい。青春の血を騒がせる漂泊と放浪の思いは、すでに、早くから、絶ちがたい情熱となって、マンの胸に燃えている。どこに行っても、鼻先のつかえる狭い山奥、田や畠をつくっても、五段歩とつづけられる土地がない。母の兄、マンには伯父に当る人が、ブラジル移民で成功し、大農園を経営している。そこには眼のとどかぬところまで続いた農場があり、四季を通じて、自由な耕作ができるという。マンの空想は、はるかに海を越えて、ブラジルの天地にまで飛ぶ。

――まず、門司港にいる兄林助を頼って行き、そこで足場をこしらえて、ブラジルへ。

これが、マンの憧憬の構図であった。

大川時次郎の顔が浮かぶ。郵便局に勤めているこの青年を、マンも好きだ。村一番の男と思う。時やんも、マンを嫁にしたがっている。