Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
にじり寄って来る時次郎の膝が、マンの膝小僧にぴったりとくっついた。しかし、マンは、身体を引こうとはしなかった。興奮した時次郎は、女の手を取った。それも、マンは、なすがままにしていた。
「無理なこと?……今ごろになって?……」
「そうじゃないの」
「無理なことがあるもんけえ。今からだっても、遅うはなあ。今すぐ、夫婦になろう。おれは、あんたが、一度は村を出ても、きっと、また、帰って来ると思うて、待っとったんじゃ。そりゃあ、夫婦約束したわけでも、なんでもなあ。じゃけど、もう、おたがい、心の中ではわかっとった筈じゃ。なあ、マン坊、そうじゃろ?」
「時やんの嘘つき。浮気ン坊。キヌさんのことは、どがあにしたとな?」
皮肉をいおうとして、思わず、故郷の言葉になった。
「キヌ坊?」
「そうよな。キヌさんと大層仲ようして、あたしのことなんて、どがあでも、よかった癖して……」
マンの眼に、ありありと、黄昏の水車小屋の風景が浮かんで来た。ススキの穂の光る流れの土堤で、時次郎とキヌとが、肩を接するようにして、むつまじげに、なにか語らっていた。いかにも楽しげに、笑いさんざめいていた。