Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
待ちこがれた夫を見たうれしさや、腹立たしさや、悲しさやがこんぐらがって、
(ふン、今時分まで、どこをほっつき歩いとったか知らんけど、いきなり、飛びこんで来て、間男呼ばわりするなんて、勝手のええにもほどがあるわ)
心のうちで、そんな天の邪鬼な意地を出していた。
マンは、金五郎が右手に握っている刀に気づくと、不審の眉をひそめた。夫が、後生大事にしている助広だ。二年ほど前、彦島で、遊び人たちの襲撃に備えて、金五郎の柳行李から無断で借りて行ったことがある品。結婚してからも、ときどき、取りだして手入れをしているので、マンも、刀の肌や形や色に、見おぼえが出来ていた。
(あの小刀は、家の桐箪笥に入れてあった筈じゃが……?)
そうとすると、夫は帰宅すると、いきなり、飛びこんで来たのではないことになる。しばらく、様子を見ていて、そっと、箪笥から、刀を取りだしてから、障子を開いたのであろうか。
正坐した時次郎は、握った両拳を太股のうえにつき、金五郎を無言で、凝視している。恐怖の感情からではなく、この変な男の正体を、見きわめようとしているもののようだった。
(これが、恋敵か?)