Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
二人が、乞食のような恰好で、彦島を追放され、暗澹とした気持におち入って、さして深い希望も抱かずに、戸畑にやって来たとき、永田杢次は、暖かい気持で二人を迎え、親身もおよばぬ面倒をみてくれた。その親切は、金五郎夫婦の骨身に浸みた。そして、身を粉にして働き、二年間が過ぎたのであるが、この半年ほど前から、永田杢次は豹変してしまったのである。
(あんな女、どこが、ええのか知らん? どうして、あんな女のために、男一匹が、腐ってしまうのか知らん?)
マンは、不思議でたまらない。そして、その理解の出来ないもどかしさ、はがゆさ、いらだたしさで、ただ、無性に、腹が立って来るのだった。顔を、涙で濡らしたまま、マンは、永田家に帰った。永田杢次は、いつか、マンの背中で、気持よさそうに、眠っていた。
防波堤の突端にある燈台の灯が、ゆるやかに、廻転しながら、夜の幕のうえに、光の条をきらめかす。霞んだ空の月が、海上を、ほのかに、照らしているので、伝馬船の行動に、不便はない。八幡の上空は、製鉄所の熔鉱炉の火が高く反映して、大火事のように、赤く燃えている。その空の火が息をしているように、明滅する。