Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
この年の冬は、北九州は、雪が深かった。その大雪のうちに、新しい年を迎えると、洞海湾は騒然として来て、石炭積込みの聯合組にも、革命が起った。
降り積んだ雪のうえに、さらに、牡丹雪が霏々として降りやまぬ或る日、金五郎は、大庭春吉の屋敷に呼ばれた。
「玉井、折り入っての頼みが、あるんじゃが……」
そういう大庭春吉の言葉は、はじめから、意味ありげだった。
金五郎も、緊張した表情になって、大親方の顔を仰いだ。
「承ります」
「どうしても、お前に決心をして貰わねばならんことが出来た。お前を男と見こんで、頼みたい」
「どんなことでしょう?」
「お前に、永田組の跡を継いで貰いたいんじゃ」
金五郎は、びっくりして、すぐには、返事が出なかった。低く、頭をたれた。唇を噛み、ぐっと、唾をのみこんでから、呟くように、
「それは、私には出来ません」
と、答えた。
「お前が、そういうにちがいないということは、わしにも、わかっとった。親方思いのお前としては、当然のことじゃ。じゃが、玉井、大事なのは、ここぞ。ようく、噛みわけて考えなおしてくれ」
腕組みした大庭春吉は、ひと膝、乗りだした。一段と、語調を強めた。