Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
谷川には河童がいるという。河童と角力をとったという老人が、自分の実見談を、炉辺で、まじめな顔して話す。
マンは、煙草好きの父のために、一枚でも余計に葉をひろうつもりである。においの強い、黄色い枯葉が、笊のなかにたまる。
すると、寝ころがっていたキヌが、突然、くるりと起きあがった。なにかを見つけたらしい。
「マンさん、大事、鬼が来たよ。早よ、隠れんさい」
切迫した語調で、叫んだ。
おどろいたマンも、狼狽したが、おそかった。
「こらあ、逃げることならんぞう」
と、太い声が、山の道からひびいて来た。
観音堂のある山道の曲り角にあらわれた一人の大男が、大股でバネ仕掛のようにとびながら、かけ降って来た。黒い中折帽をかぶり、黒い詰襟服で、これも黒の皮カバンを右手にぶらさげている。顔いろも、日やけと酒やけで赤黒く、ちょび髭が木炭をくっつけたようだ。
「とうとう、見つけられたなあ。ええかげんで、早よ、やめんもんじゃけえ」
キヌは、もう、青くなっている。
「かまうもんか」
観念したとみえて、マンは、煙草畠のなかに立ちあがって、男の近づいて来るのを待った。煙草の葉を入れた笊だけは、畠のくぼみに隠した。