Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
……なんて、いう。小使を五銭くれりゃ、兄には、十銭やった、というし、髪つみに十銭貰や、人には、十五銭やったという」
「そんなかな? もし」
「清ちゃん」
金五郎は、なにか思いついて、眼をかがやかせた。
「うん」
「一生の頼みがあるんじゃがな」
鍛冶屋の清七は、お人よしで、かんの鈍いことで有名である。金五郎から、いつも、「お前は、朝、頭をたたかれて、夕方ごろになって、アイタ、というような男じゃ」といって、からかわれる。それで、今、親友が、切迫した顔つきと語調とで、一生の頼みがある、といっても、のびやかな顔で、表情も変えず、
「なんぞな? もし」
と、間のびした声で、ききかえしただけであった。しきりに、鼻糞をほじくる。
「鍵を、一箇、作ってもらいたいんじゃがなあ」
「どがいな鍵ぞな?」
「それが、……ちょっと、わからんのじゃが……?」
「わからん鍵は、でけんなあ」
「清ちゃん、お前じゃけに、打ちあける。実は、兄夫婦が、いつも、銭を入れとる箪笥がある。その箪笥の鍵は、嫂が持っとる。その鍵と同じ鍵が欲しいとじゃ」
「箪笥の銭を泥棒するんかな、もし?」
「いや、盗むんじゃない。借るんじゃ」