Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

「緑屋」で、お京から責め立てられ、「それでも男か」と詰られて、右腕に降り龍を彫ることだけは、約束したのである。無論、彫青だけの接触だが、もうこうなったら、そのもう一つ奥の交際にまで、発展しないともかぎらない。くしゃくしゃしている金五郎の心に、悪魔が忍びこんで来た。

朝の光線が、障子窓いっぱいにさしている。今日もよい天気らしい。雀のさえずりが、台所にいる子分連中の騒ぎといっしょになって、にぎやかな交響楽を奏でる。

頭のしんが鈍くうずいて、重い。味噌汁椀を置いた金五郎は、枕元にあるラムネを飲もうと思って身体をねじ曲げた。その眼に、水色の一通の封書の落ちているのが映った。手をのばして、拾いあげた。

表に、「玉井マン殿へ」、裏には「飛鳥、森キミより」――キミというのは、君香の本名である。すでに、封が切られてある。

金五郎は、不審の面持で、中の手紙を引きだしてみた。目読した。読み終って、

「なあんじゃ。そうか」

と、吐きだすように、呟いた。マンの行動の原因がわかったのである。

そうすると、今度は、こういう手紙をマンに書いた君香、そして、君香と同調しているにちがいない森新之助への憤りが、俄かに、金五郎の全身を燃え立たせた。