Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
ほろ酔いで、帰る途中、家並の切れた寂しい場所で、いきなり、暗闇から飛びだした者が、短刀で、こんなことをして逃げたのだ。……そういう風にいうだけで、後は泣く一方である。
「痴漢のしわざらしいな」
刑事は、したりげに、うなずいた。警察官も、なにか恨みを含む者の復讐的行為ではないか、という疑念が湧かぬでもないらしかったが、その犯人が、女であると考えた者はないようである。
女のもっとも大切な黒髪を奪うことによって、染奴に制裁を加えたのが、外ならぬお京であることに、うすうす気づいたのは、新之助夫婦、金五郎、胡蝶屋豆八、くらいにすぎなかった。
染奴は、命が惜しいので、絶対に、犯人がお京であることを、口に出さない。そのとき、お京から脅迫された言葉は恐しい。
「染奴さん、あたしは約束したことは、実行することが好きな女よ。蛭子神社の境内で、あれだけいっておいたのに、あんたは裏切ったのね。おまけに、血迷って、玉井さんのおかみさんに、偽手紙を書くなんて。……今夜は、髪だけで、勘弁してあげるけど、このことをあたしがしたなんて、一言でもしゃべってごらん。そのときこそ、ほんとに、命がないとお思い。