Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

「それなら、放っちょいてくれ」

「妹からの手紙によると、親父やお袋はもう大したこともないようにある。薪が飛んで、親父は片眼はまるきり見えんようになったらしいけんど、片方が大丈夫じゃけ――眼は一つありゃええ、なんて、元気でいうとるらしい。そんなら、もう、おマンも帰って来りゃええのに、あれから三ヶ月にもなるとに戻ろうとせんし、……」

「時やんが、つれて帰るよ」

「それが、オヤジ、変じゃよ。時やんは、村に帰っちゃ居らんらしいで」

「そんな筈があるもんか」

「それでも、マンの手紙に、そう書いてある。それで、わしが帰んで来ようかと考えたわけじゃが……」

「要らんお世話」

投げつけるように叫んだ金五郎は、くるりと身体を廻すと、急に、はげしく抜き手を切って、沖に向かって泳ぎはじめた。

ぐんぐんと、沖合を目ざし、島を遠ざかって行くと、響灘の水平線のうえに、ぎらぎらと照りかえす純白の入道雲が、絢爛たる行列をつくって、雲部隊の進軍のようである。せせこましい地上の出来事など、この太陽と、海原と、青空との壮大な交響楽の前には、塵芥にも等しい。

(この海をこのまま泳ぎつづけて行けば、支那に行ける。