Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
そして、次第に、意識をうしなって行った。
金五郎が倒されるまでは、短い時間だった。「玉井組」の連中も気づかなかったほどである。
稲妻の青い光の中に、まっ先に怪しい光景を認めた「六ゾロの源」が、桟橋に飛びあがった。
「角助、待て」
と、叫んだ。
当てずっぽうではなかった。桟橋におどりあがった瞬間、きらめいた稲妻の青い光のなかに、源十の眼は、指の短い一つの手を鋭く認めたのである。生姜のような、奇怪な形の青白い手だけが空間に浮かび、桟橋から岸壁の方へ飛び去ろうとしていた。
走った。夢中だった。
岸壁に繋留された大伝馬、小伝馬、サンパン、押売り船、などが、芋を洗うように、はげしい音を立ててもみあっている、その岸壁をすれすれに、角助は逃げて行く。稲妻の閃光のなかに、今度は手が二つ見えた。どちらも第一関節から先を何本か切断した指の形が、不思議にはっきり、病的な幻影に似た不気味さで、源十の眼を刺した。日本刀はどこかに捨てたらしい。
「角助、貴様、……」
若い源十は足が早い。蟹股で逃げる角助は、すぐに追いつかれた。黒い雨合羽を頭から被った角助は、後から抱きついた源十のために投げたおされた。