Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
「他の人は?」
「こちらの井上様も、他の方々と、お入りになっていらっしゃいます。十人くらいは御一緒出来ますから……」
「家族風呂はありませんかね」
「ございますけど……?」
「そちらへ、一人で入りたいんだが、……」
「さよですか?……そんなら、ちょっとお待ち下さいませ。見て参りますから」
変なことをいう客を、女中は不審そうにしながら、出て行った。
入れちがいに、安五郎が、タオルをぶら下げて帰って来た。
「やあ、玉井君、いい風呂だが、入らんかね?」
「ああ」
「それで、財布は?」
「かえった。なにも、なくなっては居らん」
「それはよかった。やっぱり、東京は物騒だなあ。気をつけることにしよう」
廊下に座蒲団を布き、「ああ、富士が見える」そういいながら、坐った。煙草に火を点けて、おいしそうに吸った。
嘗て、金物商の息子であった青年安五郎は、玉井金五郎の行状に強い関心を持ち、早くから知己を得たいと念じていた。そして、長い歳月の過ぎた現在では、対等の友人になっているのである。安五郎は金五郎より七つも下であったけれども、金五郎は、安五郎の教養と、政治的手腕とに敬服していて、年齢を離れた交遊をしていた。