Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

と、男は眼を光らせた。「今夜、盆につきあわねえか。仲間が四五人来てるんだ。面白いぜ」

清七は、いよいよ、悪漢が本性をあらわして来たと思った。前よりも力をこめて、金五郎の尻をつねった。

金五郎は、その手を、湯の中で、はねのけておいてから、

「三ン下さん、ぜひ、今夜仲間に入れてつかあさい」

と、いった。

「いいとも、いいとも。そっちの兄ちゃんと二人で、やって来な」

そして、盆茣蓙の開帳される筈になっている場所や、時間を、詳しく教えた。それから、急に、「ああ、うっかり長湯して、のぼせてしまった」と、まるで、オットセイが水から飛びあがるような具合に、あわただしく、「神の湯」から、出て行った。

白くたちこめる湯気の中に、背に彫られた恐しい般若の面が、すっと消え、ちょっとの間、妖しい雰囲気がただよった。

「金坊、お前、やめとけよ」

「かまん、かまん。なんでも、知らんことはやってみるんじゃ。勉強じゃけに」

「そうけ?」

金五郎は、手拭で、白い身体をゴシゴシこすりながら、遠くを見る眼になった。

――港。

――自由の天地。

――支那大陸。

金五郎が、支那へわたりたいと考えはじめたのは、もはや、二年や三年のことではなかった。