Classici giapponesi con furigana
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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate
畳も、畳というよりも、荒れた芝生のようだ。六畳のまん中に、一閑張りの朱机が一個、硯箱、インキ壺、雑然とした書類の束。そして、原田は、勝則が訪れるまで、その机に向かって、なにかの原稿を書いていた模様だった。内も外も同じというほどは、屋内は雨が降ってはいない。方々、雨漏りがしていて、家内のいたるところに、洗面器、盥、釜の類が置いてあるけれども、六畳の座敷は、ときどき、天井から雫が落ちる程度だ。
原田雲井、五十八歳。「タコノバッチョ」と呼ばれている、禅宗僧が托鉢のときに用いる、大きな笠を被っている。六尺豊かで、肥満した巨躯、髭の中に顔があるといった方がよいほど、顔全体を包んでいる長い髭、ロイド縁の眼鏡、その下にある細い眼、磊落に笑うときには、人のよさそうな童顔になるが、その顔全体には、いいようもない頑固一徹さ、太々しさのようなものが漲っていた。袖口の切れた、色のはげた黒の背広を着ている。天井から落ちる点滴が、バッチョ笠を鳴らす。
「悪家主の外道されが、とうどう、屋根の瓦ば剥いでしまい居ってな」
原田は天井を見あげて、身体中をゆすって笑った。
「僕のところは、天気になりました」