Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

「やあ、親子で、魚取りですかな」

夜業があるとみえて、まだ聯合組事務所にいた新谷勝太郎が、にこにこ顔で、声をかけた。玉井組の子分であった新谷は、聯合組の甲板番になっていた。

「うんと取って来てやるけ、酒の燗でもつけて待っときなさい」

金五郎も、笑って、答えた。

月明である。春の夜の洞海湾は、波も立たず、月かげをただよわせて、おぼろに霞んでいる。沿岸や港内には、イルミネーションのように、電燈がともり、夜業をしている船から聞える、ウィンチを巻く蒸気と機械の音が、夜の空気をゆるがせる。八幡製鉄所の熔鉱炉の火が天に反射して、赤の色が呼吸している。

「中ノ島に行こう」

勝則が櫓をあやつって、船をすすめると、金五郎は舳に腰かけて、網をしらべる。どちらも、水に濡れてもよいような菜ッ葉服、半ズボン、草履をはいている。

「ここらで、一網入れてみよう。……控え廻してくれ」

中ノ島の岸近く、船を止めた。

金五郎は、跣足になって、舳に立った。左腕に託していた投網を、二三回、反動をつけ、腰をひねって、さッと、海面に投げた。要領がよい。力も強いので、網は一杯にひろがって、シャワァッと、海面に落ちて沈んだ。