Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらいそのきょうみ

荒磯の興味

佐藤 惣之助

Leggi 荒磯の興味 (あらいそのきょうみ) di 佐藤 惣之助 (さとうそうのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3703 caratteri · 8 schermate

Aozora Bunko

眼も頭も凡て海と一致しているのである。岩をとび歩いても、海草や貝類を見ても、もう決して陸上の人間のような感じは持たない。海は生きている、海草も貝も生きている。まして釣は猶更のこと、その神秘な自然の深みへ没入して、初めて溌剌たる魚を引掛け得るのだ。そして強引に争い、水面をぬいて獲物とするまでには、時に魚の鰭で手に血を流し、転んだり、跪いたり、思わぬ怪我をしても、潮で洗えばすぐ癒るような野蛮さにある。

長竿を揮って、怒濤の巌上に立つ気持というものは恐らく太古の感情そのままである。もう自分の背後にある陸の生活のことなぞは考えない、又考えたらそんな冒険的な行為が恐ろしくなるが、只この健康、この荒ぶる感情、その行動というものが、得も云われず一種の壮快さを齎らすのだ。たった一人で半日も釣っていると、浪の音と風で耳が遠くなる、よく岩礁の蔭で幻聴を感じ、何か囁くような、訴えるような、ふしぎな海の笛をきく、そして燦爛と輝く荒磯の魚を足に踏まえ、太陽を額にして、ひとり食事なぞをしていると、もう私達は未開人と一歩の差である。そして陸への郷愁といったものに憑れ、淋しい漁村や、遠くの空が、妙にかなしく懐しくさえ思われてくる。