Classici giapponesi con furigana
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はなばなしきしゅんかん
華々しき瞬間
久坂 葉子
Leggi 華々しき瞬間 (はなばなしきしゅんかん) di 久坂 葉子 (くさかようこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.114 caratteri · 92 schermate
「お暇なら、これからきかせてあげる」
「どこで」
阿難は笑ったが何も云わずに冷いのみもののストローに口をつけた。
ダンス場はまだしんとしていた。開場までに一時間ある。それに、今月はピアノのレッスンもない。
入口の事務所でピアノの鍵をもらって来た阿難は、静かに、ぬりのはげたアプライトのピアノの蓋をあけた。
「水の反映」透明で、しかもかたくない。露がころがってゆくような、そして、音にふれたいような欲望を起させる。
「阿難、素晴しい人だ」
仁科六郎は、弾き終った彼女の背後にちかづいた。
「阿難もよくひけたと思うの、だけどほめられて嬉しい」
斜めに首をまわした阿難の頬は紅潮していた。
「阿難」
仁科六郎は両手で阿難の肩を抱いた。阿難はしばらく酔っていた。だが、南原杉子にもどった。ダンスのレッスンがもうじきはじまるのだ。二人は外へ出た。六時に会う約束をして別れた。会う場所は、別れた角の喫茶店。常に同じ場所で会うことをお互に拒んだ。仁科六郎は人目がうるさいから。
阿難はいつも新しい印象を与えられたり又与えたくもあったからだ。決った場所。決った時間。決った曜日。それは陳腐で倦怠の連続だから。