Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
もえぎいろのくき
萌黄色の茎
田中 貢太郎
Leggi 萌黄色の茎 (もえぎいろのくき) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4481 caratteri · 9 schermate
老婆の声がしたかと思うと肥った青膨れた北村さんの顔が眼の前に見えて来た。お菊さんはほっとした。その拍子にお菊さんは己の呼吸があぶくのようになって口から出るのを感じた。
お菊さんは北村へ出前を持って往ったきり帰らなかった。バーでは手分けをして捜索したが、だいいち北村と云う家もなければ、どこへ往ったのかさっぱり判らなかった。しかし、客には失踪したとも云えないので、聞く者があると、
「芝の親類へお嫁に往ったのですよ」
と云っていた。ところである雨の降る静な晩、時たま店へ来る童顔の頬髯の生えた老人が来た。老人はどこで飲んだのかぐてぐてに酔って顔を赧くしていた。
「おい、も一人の女はどうしたのだ」
と、老人が云うのでお幸ちゃんは例によって、
「芝の親類へお嫁に往ったのですよ」
と云った。老人をそれを聞くとテーブルへ隻肱をついてそれで頬を支えながら、こくりこくりとやりだしたが急に眼を開けて云った。
「あの女が芝なんかにいるものかい、ありゃ雨で大河からあがって来た奴に伴れて往かれたのだよ、彼奴を何んと思うのだ、頭から顔からつるつるしてたろう」
老人はこう云ってから、またこくりこくりとやりだした。