Classici giapponesi con furigana
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おちばいき
落ち梅記
山本 周五郎
Leggi 落ち梅記 (おちばいき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.748 caratteri · 61 schermate
「一年ぶりで会うんだ、そういう調子はやめようじゃないか」
「そして金之助のようにまじめになれと云うのか」半三郎は片手で口をぐいと拭いた、「――冗談じゃあない、なるほどおれは身を持崩している、酒を飲み賭博をやる、四方八方借りだらけだ、けれども人のうしろから小股をすくうような、卑劣なまねは決してしたことはないぜ」
「――――」
金之助は盃を置いた、さすがに堪り兼ねたのである。盃を置き刀を取って、そのまま席を立とうとした。
「どうするんだ、恥ずかしくていたたまれないのか」
「酔わないときに会おう、今日は帰る」
「よし帰れ、だが」半三郎はこう云うと、ふところからなにか取出して、金之助のほうへ投げやりながら叫んだ、「――帰るならこれを持ってゆけ、当人はあとから届けてやる」
金之助の額がすっと蒼くなった。投げだされたのは手鏡である、由利江がせがんで持っていった、八花形のあの漢鏡であった。金之助はつとめて怒りを抑え、できるだけ静かに相手を見た。
「これはどういう意味だ、半三郎、――当人はあとから届けるとはなんだ」
「しらばっくれるな、おれがこの鏡を知らないと思ってるのか、きさまがお祖母さんの形見だといって大事にしていたことは、子供のじぶんからちゃんと知っていたぞ」