Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

おちばいき

落ち梅記

山本 周五郎

Leggi 落ち梅記 (おちばいき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.748 caratteri · 61 schermate

Aozora Bunko

由利江は手指で眼がしらを押えながら、低く震えるこえで続けた。

「若殿は御承知くださいませんでした。そして、おまえが辞退するのは、裁く者のなかに金之助がいるからであろう、だが、――おまえをこの役に推挙したのは金之助だぞ、こんどの裁決は一藩の大事だ、ひとつ間違うと長い禍いの根を残す、この大役をはたす者は公郷のほかにない。……金之助がそう申した。――そのほうと彼とは幼少からの親友だ、彼ほどそのほうを知る者はあるまい、このたびのことでは金之助もすべてを捨てている。家名も、武士の面目さえも捨てている。……紊乱した藩政をたてなおすために、彼はすすんで身を捨石にして呉れたのだ、そしてそのようにあらゆる私情をたちきり、大事を誤りなく裁く者は、半三郎を措いてほかに人間はないと云うのだ。――これでもそのほうは辞退するか、辞退するのが友情だと思うか、……若殿はこう仰せられたそうでございます」

金之助は唇を噛み、眼をつむって頭を垂れた。康継は彼にはなにも云わなかった。それがいま由利江の口を通じて伝えられたのである、金之助は康継そのひとの声を聞くおもいで、心のなかでひそかに低頭した。