Classici giapponesi con furigana
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おちむしゃにっき
落武者日記
山本 周五郎
Leggi 落武者日記 (おちむしゃにっき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.460 caratteri · 23 schermate
と、娘は申訳のないことをうちあけるように、少し口籠りながら続けた。
「すぐに兄の身上を思いだしたのでございます」
「そうですか、……そうでしたか」
「でも、そう申上げましても、お怒りくださいませぬように……」
「とんでもない、そう伺って、あなたの御親切がなおのこと身にしみるばかりです。……して、お兄さんのお名前はなんとおっしゃる」
「うちには柏山という、古くからの姓がございますの、兄は条助と申しますけれど。でも、……武士になったとしましたら、名を変えていることだと存じますわ」
「柏山条助。……柏山」
なんども口の中で呟いてみた。しかし、まったく聞いたことのない名だった。……もし娘の考えるとおり、彼が西軍にいたとして、そして、もしあの戦場から落ち延びることができたとしたら、そのままここへ来ていなければならぬはずだ、今日まで姿を見せぬとすれば、……あるいは関ヶ原の露と消えたのかも知れぬ。
「あなたさまは、これからどちらへお越しあそばします」
「治部の殿(三成)のおゆくえをたずね当て、佐和山の城へ入って、さいごのひと合戦をするつもりです」
「まあ、それは!」
と、娘は思わず驚きの声をあげた。