Classici giapponesi con furigana
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かつしかすなご
葛飾砂子
泉 鏡花
Leggi 葛飾砂子 (かつしかすなご) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.677 caratteri · 37 schermate
呼び上げておきながら取留めたことを尋ねるまでもなく、お縫は半ば独言。蓋のあいた柳行李の前に立膝になり、ちょっと小首を傾けて、向うへ押して、ころりと、仰向けに蓋を取って、右手を差入れて底の方から擡げてみて、その手を返して、畳んだ着物を上から二ツ三ツ圧えてみた。
「お嬢さん、盗賊?」と弥吉は耐りかねて頓興な声を出す。
「待って頂戴。」
お縫は自らおのが身を待たして、蓋を引いたままじっとして勝手許に閉っている一枚の障子を、その情の深い目で瞶めたのである。
四
「弥吉どん。」
「へい、」
「おいで、」と言うや否や、ずいと立って件の台所の隔ての障子。
柱に掴って覗いたから、どこへおいでることやらと、弥吉はうろうろする内に、お縫は裾を打って、ばたばたと例の六畳へ取って返した。
両三度あちらこちら、ものに手を触れて廻ったが、台洋燈を手に取るとやがてまた台所。
その袂に触れ、手に触り、寄ったり、放れたり、筋違に退いたり、背後へ出たり、附いて廻って弥吉は、きょろきょろ、目ばかり煌かして黙然で。
お縫は額さきに洋燈を捧げ、血が騒ぐか細おもての顔を赤うしながら、お太鼓の帯の幅ったげに、後姿で、すっと台所へ入った。