Classici giapponesi con furigana
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かいろこう
薤露行
Leggi 薤露行 (かいろこう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.925 caratteri · 40 schermate
花に戯むるる蝶のひるがえるを見れば、春に憂ありとは天下を挙げて知らぬ。去れど冷やかに日落ちて、月さえ闇に隠るる宵を思え。――ふる露のしげきを思え。――薄き翼のいかばかり薄きかを思え。――広き野の草の陰に、琴の爪ほど小きものの潜むを思え。――畳む羽に置く露の重きに過ぎて、夢さえ苦しかるべし。果知らぬ原の底に、あるに甲斐なき身を縮めて、誘う風にも砕くる危うきを恐るるは淋しかろう。エレーンは長くは持たぬ。
エレーンは盾を眺めている。ランスロットの預けた盾を眺め暮している。その盾には丈高き女の前に、一人の騎士が跪ずいて、愛と信とを誓える模様が描かれている。騎士の鎧は銀、女の衣は炎の色に燃えて、地は黒に近き紺を敷く。赤き女のギニヴィアなりとは憐れなるエレーンの夢にだも知る由がない。
エレーンは盾の女を己れと見立てて、跪まずけるをランスロットと思う折さえある。かくあれと念ずる思いの、いつか心の裏を抜け出でて、かくの通りと盾の表にあらわれるのであろう。かくありて後と、あらぬ礎を一度び築ける上には、そら事を重ねて、そのそら事の未来さえも想像せねばやまぬ。
重ね上げたる空想は、また崩れる。